ハイパーオートメーションとは?RPAとの違い、メリット・デメリット、実現ツールを解説

  1. ホーム
  2. すべて
  3. ハイパーオートメーションとは?RPAとの違い、メリット・デメリット、実現ツールを解説
ハイパーオートメーションとは?RPAとの違い、メリット・デメリット、実現ツールを開設

ハイパーオートメーションとは何か、という疑問に応える情報をまとめました。
RPAなどの単一技術による効率化から一歩進み、複数のテクノロジーを連携させる手法の
全体像を解説します。
また、組織にもたらすメリットや直面しやすいデメリット、システム構築に必要なツールの
種類についても詳しく触れていきます。

目次

ハイパーオートメーションとは?注目される背景を解説

ハイパーオートメーションとは、複数の先進的なIT技術を組み合わせ、一連の業務プロセス
をエンドツーエンドで自動化する概念です。
米IT調査会社のガートナーが提唱したこの定義は、単なる作業の代替を目的とするものでは
ありません。
労働力不足の深刻化やビジネス環境の急激な変化に対応するため、企業が持続的な競争優位
性を獲得する手段として広く注目を集めています。

RPAとの決定的な違いは「自動化の範囲」

従来の自動化手法として広く普及しているRPAとハイパーオートメーションでは、適用さ
れる領域のスケールが大きく異なります。
既存の仕組みでは対応できなかった領域まで踏み込むため、両者の違いを正確に把握するこ
とは非常に重要です。

RPAは単一の「タスク」を自動化する

RPAは、人がパソコン上で行う定型的なマウス操作やキーボード入力を模倣し、特定の作
業を正確かつ高速に処理する技術です。
請求書データのシステム入力や定型メールの送信など、ルールが明確に定まったルーチンワ
ークを代替する役割を担います。
特定の部門内における局所的な業務負担を軽減する手段として非常に有効ですが、複雑な条
件分岐や意思決定が含まれる業務には対応できません。
あくまでもプロセスのなかの「点」を効率化することに特化しています。

ハイパーオートメーションは「業務プロセス全体」を自動化する

局所的な効率化にとどまらず、部門を横断する一連の業務フローを統合的に管理・実行する
のがハイパーオートメーション化の特徴です。
データの入力から承認、顧客へのフィードバックに至るまで、複数の人間が関与していたプ
ロセスを途切れることなく自動処理します。
各工程で最適なテクノロジーを組み合わせることで、点在していた自動化の仕組みを線や面
へと拡張させます。
これにより、組織全体のオペレーションを根本から再構築する基盤となります。

人の判断を含む複雑な業務も自動化の対象になる

単純なルールベースの処理を超え、高度な推論やテキスト生成能力を取り入れることで、自
動化できる領域は飛躍的に拡大します。
生成AIを用いて非定型の問い合わせメールから顧客の意図を汲み取ったり、AIエージェント
が過去のデータに基づいて最適な解決策を提示したりすることが可能です。
これまで人間の経験や勘に依存していた例外処理や複雑な意思決定プロセスもシステムに組
み込めるため、より人間に近い柔軟な対応が実現します。

ハイパーオートメーションを構成する主要なテクノロジー

業務プロセス全体の最適化は、単一のシステムだけで実現するものではありません。
多種多様なクラウドサービスやソフトウェア製品を適切に連携させ、それぞれの強みを補完
し合うエコシステムを構築します。
自社の要件に合わせた最適なテクノロジーの選択が求められます。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

ハイパーオートメーションを構築する上で、基盤となる実行エンジンとしての役割を果たす
のがRPAです。
他のシステムから受け取ったデータを基に、既存のレガシーシステムやWebアプリケーシ
ョンの画面操作を自動で実行します。
人間に代わって大量のトランザクションを迅速かつ正確に処理する能力に長けており、全体
の自動化フローにおける「手足」として機能します。
APIを持たない古いシステムと最新のテクノロジーを繋ぐ架け橋としても重宝されていま
す。

AI(人工知能)と機械学習

自動化プロセスにおける「頭脳」の役割を担い、システムに高度な認知と分析の能力を与え
ます。
紙の文書から文字を高精度で読み取るAI-OCRや、膨大な過去データから機械学習を用いて
将来の需要を予測する仕組みなどが代表的です。
人間が発する自然言語の意味を理解し、画像や音声データを解析することで、非構造化デー
タを取り扱えるようになります。
これにより、定型業務しかこなせなかったシステムの限界を突破し、より知的な処理が可能
となります。

プロセスマイニング

社内の情報システムに蓄積されたイベントログデータを分析し、実際の業務フローを客観的
に可視化する技術です。
誰が、いつ、どのシステムを使用して作業を行ったかをトレースすることで、業務のボトル
ネックや無駄な手順、コンプライアンス違反のリスクを正確に特定します。
自動化すべき最適な領域をデータに基づいて発見できるため、プロジェクトの初期段階にお
いて極めて重要な役割を果たします。
投資対効果の事前評価も容易になります。

iPaaS(Integration Platform as a Service)

クラウド上やオンプレミス環境に点在する複数のアプリケーションをシームレスに統合し、
データの同期と連携を仲介するプラットフォームです。
APIを利用して各システムをリアルタイムに接続することで、データ入力の二度手間や転記
ミスを防ぎます。
SFAやCRM、ERPといった異なるベンダーのシステム間であっても、複雑なコーディング
をすることなく連携フローを構築できるため、組織を横断するスムーズなデータ流通を実現
します。

ローコード/ノーコード開発プラットフォーム

プログラミングの専門知識を持たないビジネス部門の担当者でも、視覚的な操作のみで迅速
にアプリケーションや自動化ワークフローを作成できる開発基盤です。
IT部門のリソース不足を補い、現場主導での業務改善を加速させます。
ドラッグ&ドロップでコンポーネントを配置するだけで、データ入力フォームの作成や承認
ルートの設定が完了します。
現場のニーズを即座にシステムに反映できるため、アジャイルなプロセス改善に大きく貢献
します。

ハイパーオートメーション導入で得られる4つのメリット

高度な技術の融合による自動化の導入は、企業活動のあらゆる側面に劇的な変化をもたらし
ます。
ここでは、組織の経営基盤を強化し、市場での競争力を高めるために得られる主要な利点を
4つの視点から整理します。

組織全体の業務プロセスを継続的に最適化できる

テクノロジーを導入して終了するのではなく、システム化された業務の実行結果を常にモニ
タリングし、継続的な改善サイクルを回すことが可能になります。
プロセスマイニングなどで取得したデータを分析し、新たなボトルネックや非効率な手順を
発見するたびに、ワークフローを再設計します。
市場環境の変化やビジネス規模の拡大に合わせて柔軟にプロセスを作り変えることができる
ため、常に組織を最適な状態に保ち、変化に対する適応力を高めます。

生産性が飛躍的に向上し人件費を削減できる

部門間のデータの受け渡しや確認作業など、これまで人間が介在せざるを得なかった中間プ
ロセスを一掃することで、業務全体のリードタイムが大幅に短縮されます。
24時間365日休むことなくシステムが稼働するため、限られた人員でも圧倒的な処理能力を
発揮します。
単純作業に割かれていた膨大な労働時間を削減できるだけでなく、浮いた人的リソースを顧
客とのコミュニケーションや新規事業の企画といった高付加価値なコア業務へ再配置できま
す。

人為的ミスをなくし業務品質を高められる

データ入力の転記ミスやチェック漏れなど、人間の不注意によるヒューマンエラーを徹底的
に排除できます。
定められたルールやAIの推論に基づいてシステムが均質に処理を実行するため、作業者ごと
のスキルのばらつきがなくなり、成果物の精度が飛躍的に安定します。
誤った処理による修正作業や手戻りが発生しないため、業務全体の品質向上に直結します。
厳格な処理プロセスが記録として残ることで、監査対応やコンプライアンスの強化にも寄与
します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進する

単なる業務の電子化や部分的な効率化にとどまらず、既存のビジネスモデルそのものを変革
するDXの実現に向けた強力な推進力となります。
全社的なデータ連携とプロセスのデジタル化が完了することで、経営層はリアルタイムな情
報に基づいた迅速な意思決定を下せるようになります。
新しい顧客体験の創造や、データ駆動型の新規サービス開発に向けた強固なITインフラスト
ラクチャとして機能し、企業の根本的な価値創造プロセスを刷新します。

導入前に知っておくべき3つのデメリット・課題

革新的なソリューションである一方で、複数の技術を統合する全社的な取り組みには特有の
難しさも存在します。
プロジェクトを推進し、導入を検討する段階で直面しやすい障壁や課題について、あらかじ
め理解して対策を講じておく必要があります。

複数のツール導入による初期コストが発生する

単一のソフトウェアを導入する場合と比較して、複数のプラットフォームやクラウドサービ
スのライセンス費用が必要となります。
さらに、既存システムとの連携部分の開発費や、AIモデルの学習・チューニングにかかるコ
ストも加算されます。
全社規模で大規模なシステムアーキテクチャを構築するため、プロジェクト初期の投資額は
大きくなる傾向があります。
長期的なROI(投資利益率)を見据えた上で、緻密な予算計画と効果測定の枠組みを策定し
ます。

高度なITスキルを持つ専門人材の確保が難しい

プロセスマイニングのデータ解析、AIの精度向上、iPaaSによるシステム連携など、求めら
れる技術領域は多岐にわたります。
これらを統合して最適なアーキテクチャを設計し、運用保守まで担当できる高度な専門性を
持つエンジニアの確保は容易ではありません。
社内の人材育成には多大な時間がかかるため、外部のコンサルティングファームやベンダー
の支援を仰ぐケースが多くなります。
現場とIT部門を繋ぐ橋渡し役の育成も急務となります。

システム連携の複雑化によるセキュリティリスク管理が必要になる

オンプレミス環境と多様なクラウドサービスがAPIを通じて複雑に接続されるため、サイバ
ー攻撃の標的となるアタックサーフェス(攻撃対象領域)が拡大します。
機密データが複数のシステム間を絶えず移動することになるため、エンドツーエンドでの暗
号化や厳格なアクセス制御が不可欠です。
一つのシステムの脆弱性が全体の脅威に直結する恐れがあるため、統合的なログ監視体制の
構築など、全社横断的なセキュリティポリシーの策定が求められます。

【業種別】ハイパーオートメーションの活用事例

各業界が抱える特有の業務課題に対して、複数のテクノロジーを組み合わせることでどのよ
うな解決策が生み出されているのかを紹介します。
代表的な業種の活用事例や成功例から、自社への適用イメージを具体化します。

金融業界:膨大な書類処理と与信審査の自動化

銀行や保険会社などの金融企業では、顧客から提出される手書きの申込書や本人確認書類の
処理に多大なリソースを割いてきました。
AI-OCRで非構造化データを正確に読み取り、RPAが基幹システムへ自動入力する仕組みを
構築しています。
さらに、機械学習モデルを用いて過去の取引履歴や信用情報を瞬時に分析することで、住宅
ローンやクレジットカードの与信審査を自動化しています。
これにより、審査期間の大幅な短縮と精度の向上を両立させています。

製造業界:需要予測からサプライチェーン管理までの最適化

多岐にわたる部品調達から生産、出荷までの複雑な工程を統合管理する取り組みが進んでい
ます。
外部の市場データや気象情報、過去の販売実績をAIに学習させて精度の高い需要予測を算出
します。
その予測データに基づいて、ERPシステムを通じて各サプライヤーへの部品発注を自動で
行います。
在庫の過不足を防ぎながら生産計画を最適化することで、グローバルなサプライチェーン全
体の強靭化とコスト削減を実現しています。

医療業界:電子カルテのデータ入力と分析業務の効率化

医師や看護師の慢性的な長時間労働が課題となる医療現場でも、先進技術の活用が進んでい
ます。
音声認識AIを用いて診療中の会話をリアルタイムでテキスト化し、電子カルテへの入力作業
を自動化します。
蓄積された膨大な臨床データはプロセスマイニングによって分析され、院内の患者の動線改
善や待ち時間の短縮に役立てられています。
医療従事者が事務作業から解放され、患者との対話や本来の治療行為に専念できる環境を整
備しています。

ハイパーオートメーションを実現するための3ステップ

複雑なシステム統合を成功に導くためには、計画的かつ段階的なアプローチが不可欠です。
導入プロジェクトを円滑に進め、失敗のリスクを抑えながら着実に成果を出すための実践的
な手順を3つのステップに分けて解説します。

ステップ1:業務プロセス全体の可視化と課題の特定

自動化の対象となる現状の業務フローを客観的な事実に基づいて正確に把握することが第一
歩です。
担当者のヒアリングや手作業で作られたマニュアルに頼るのではなく、プロセスマイニング
ツールを導入してシステム上のログデータを解析します。
業務の実行ルートや所要時間を可視化することで、属人化している工程や不要な承認プロセ
ス、ボトルネックとなっている箇所を明確に特定します。
これにより、自動化による投資対効果が最も高い領域を見極めます。

ステップ2:自動化する範囲と最適なツールの選定

可視化されたプロセスの中で、どの工程にどのテクノロジーを適用するかを設計します。
データ入力にはUiPathなどのRPA製品を採用し、判断業務にはAIモデルを組み込むといった
具合に、適材適所でソリューションを組み合わせます。
自社のみでの設計が困難な場合は、コンサルティング実績が豊富なEYなどの専門ファーム
の知見を活用してロードマップを策定します。
既存システムとの連携性を考慮し、拡張性の高いアーキテクチャを構築します。

ステップ3:スモールスタートで導入し効果を測定・改善

最初から全社規模でシステムを稼働させるのではなく、特定の部門や影響範囲の小さい業務
から試験的に運用を開始します。
実務環境でのテストを通じて、AIの認識精度やシステム間の連携速度、エラーの発生頻度な
どを検証します。
得られたフィードバックを基に自動化ワークフローを修正し、安定稼働が確認できた段階で
徐々に他の業務や他部門へと適用範囲を拡大していきます。
アジャイルなサイクルを回すことで、導入におけるリスクを最小限に抑えられます。

ハイパーオートメーションに関するよくある質問

新しいテクノロジーの概念を組織に導入する際、プロジェクト担当者や経営陣から寄せられ
やすい疑問点をまとめました。
検討の初期段階でクリアにしておくべき重要なポイントについて、概要を端的に回答しま
す。

ハイパーオートメーションとDXにはどのような関係がありますか?

ハイパーオートメーションは手段であり、DXはその先の目的という関係性です。
複数の技術を用いた高度な業務プロセスの自動化が基盤となることで、新しいビジネスモデ
ルの創出や企業風土の変革といったDXの実現が加速します。

中小企業でもハイパーオートメーションを導入できますか?

十分に導入可能です。
近年はクラウド型のiPaaSや安価なSaaS、ローコード開発ツールが普及しており、大規模
な初期投資を抑えられます。
スモールスタートで自社の身の丈に合った仕組みから構築を始める企業が増加しています。

導入を成功させるために最も重要なことは何ですか?

経営層の強力なコミットメントと、明確な目的設定です。
自動化ツールの導入自体をゴールにするのではなく、削減した時間をどのコア業務に割り当
て、どのように企業価値を向上させるかという戦略的な視点を持つことが不可欠です。

まとめ

ハイパーオートメーションは、これからのビジネス環境を生き抜く上で欠かせない強力な経
営手法です。
導入に向けた第一歩として、最新のテクノロジー動向や他社の成功事例を深く知るために、
各ベンダーが開催するセミナーに参加して情報収集を行うのも効果的です。