ファイル連携とは?方式ごとのメリット・デメリットと実現方法を比較

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ファイル連携とは?方式ごとのメリット・デメリットと実現方法を比較

企業のデジタル化が進む中で、異なるITシステム間でデータを安全かつ効率的にやり取りす
る手法の検討が求められています。
複数のデータ連携手段が存在する中で、古くから多くの企業で採用されているのがファイル
連携という方式です。
連携先の環境やデータの特性に合わせて適切な方法を選択し、運用コストを抑えながら確実
なデータ共有を実現することが不可欠と言えます。
本記事を通じ、各手法のメリットやデメリットを踏まえ、具体的な実現手段を比較検討でき
る情報を提供します。

目次

ファイル連携とは?基本的な仕組みをわかりやすく解説

ファイル連携とは、あるシステムが保有するデータをCSVなどのファイル形式に出力し、
別のシステムへ受け渡す連携プロセスのことです。
この仕組みは、送信元がエクスポートしたファイルを送信先がインポートするという直感的
なプロセスで成り立っています。
複雑なプログラムを組まなくても、ファイルを介してデータを運ぶという単純な構造であ
り、設計図を見るようにデータの流れを把握しやすいのが特徴と言えます。

ファイル連携とAPI連携の主な違い

システム間でデータを共有する際、ファイル連携はまとまったデータをファイルとしてバッ
チ処理などで一括転送するのに対し、API連携はネットワーク越しに直接データをやり取り
するという差異があります。
APIを利用した通信は、リクエストに対して即座にレスポンスを返すためリアルタイム性に
優れている手法です。
一方、ファイルベースの通信は一度に大容量のデータを取り扱う場面に適しており、それぞ
れ得意とする処理が異なります。

ファイル連携が業務で重要視される理由

社内には経理や人事、営業など各部門に特化した多様なソフトウェアが導入されており、そ
れらのシステム間で生じるデータの分断が課題となっています。
情報が散在していると、手作業による転記作業が発生し、業務効率の低下や入力ミスを招き
かねません。
そこでシステム連携を行うことにより、部門間でのスムーズな情報共有が可能となり、正確
なデータに基づいた迅速な意思決定が促進されるのです。

【方式別】ファイル連携の主な実現方法

システム間でファイルを送受信する手段には、手作業から高度なツールを活用するものまで
多様な種類が存在します。
自社の技術力や予算、扱うデータ量に応じて最適なアプローチを選択することが求められま
す。
それぞれの特徴を整理し、自社に適した方式を見極める基準を持つ必要があります。

手動によるCSVファイルのインポート・エクスポート

最も原始的でありながら、多くの現場で採用されているのが手動によるデータの受け渡しで
す。
送信元のシステムからデータをダウンロードし、それを送信先のシステムへアップロードす
ることでデータ共有を完了させます。
この手法は特別な開発スキルが不要であり、誰でもすぐに実行できる点が魅力と言えます。
また、ダウンロードしたデータをExcelなどの表計算ソフトで開き、目視によるチェックや
簡単なデータ加工を手軽に行うことも可能です。
一方で、担当者が都度作業を行う必要があるため、データ量や処理の頻度が増加すると人的
な負担が大きくなります。
手軽に導入できる反面、恒常的な業務フローとして組み込む際には工数の増加に留意すべき
手段です。

スクリプトを活用したバッチ処理による自動連携

手作業の負担を軽減するため、スクリプト言語やバッチプログラムを用いてファイルの出力
から転送、取り込みまでを自動化する手法があります。
夜間などのシステム負荷が低い時間帯に処理をスケジュールすることで、業務時間を圧迫せ
ずにデータを同期できます。
プログラムを組むことで、異なるシステム間で生じるデータ形式の差異も吸収可能です。
例えば、連携元と連携先で文字コードが異なる場合の変換処理や、可変長データを固定長フ
ォーマットに整形するといった複雑な加工も組み込めます。
ただし、独自のプログラムを開発・保守するための専門知識を持ったITエンジニアが欠かせ
ません。
システム環境のアップデートに伴い、プログラムの改修作業が定期的に発生する点も考慮し
なければならない要素です。

SFTPサーバーを利用した安全なファイル転送

機密性の高いデータを扱う場合、ネットワーク上での通信経路を保護する仕組みが不可欠と
なります。
そこで広く利用されているのが、SFTPサーバーを介したファイル転送方式です。
SFTPを利用すると、認証情報や転送されるファイルそのものが暗号化されるため、悪意の
ある第三者によるデータの盗聴や改ざんのリスクを大幅に低減できます。
個人情報や財務データなど、厳格なセキュリティ要件が求められる企業間のデータ連携にお
いて標準的に採用されています。
専用のサーバーを構築・運用する手間はかかりますが、安全に大容量のファイルをやり取り
するための堅牢な基盤として機能します。

EAI/ETLツールによるデータ加工・連携

システム数が多く、データ変換が複雑な環境では、専用のミドルウェアやソフトウェアの導
入が有効です。
EAIやETLを担う専用ツールを活用することで、高度な連携基盤を構築できます。
代表的な製品としてHULFTなどが挙げられ、これらは文字コードの変換やフォーマットの
整形といった煩雑な処理をGUI上で直感的に設定できる機能を備えています。
また、ファイル転送が成功したかどうかのログ管理や、エラー発生時の通知機能も充実して
いる点が特徴です。
初期費用やライセンス料はかかりますが、開発工数を大幅に削減し、安定した運用監視体制
を容易に確立できる点が大きなメリットとなります。

iPaaSを利用したクラウドサービス間の連携

近年、業務環境がオンプレミスからインターネット上のシステムへ移行する中で、iPaaSの
活用が進んでいます。
これは複数のクラウドサービスを連携させるためのプラットフォームです。
kintoneやSalesforceといったSaaSアプリケーションと、AmazonS3などのオンラインスト
レージ間で、ファイルの受け渡しをノーコードまたはローコードで自動化できます。
APIを利用したデータ操作とファイルの転送をシームレスに組み合わせることが可能です。
サーバーの構築や保守を自社で行う必要がなく、ブラウザ上の設定のみで素早く連携フロー
を作成できるため、IT部門に依存せずに現場主導で導入を進めやすいという特長を持ってい
ます。

ファイル連携を導入する4つのメリット

システム間のデータ共有手段としてファイルベースの通信を採用することには、多くの利点
があります。
技術的な観点や業務運用の観点から、ファイル連携を選ぶことで得られる強みを正しく理解
し、自社の課題解決にどう役立つかを検討するプロセスが求められます。

メリット1:比較的シンプルな仕組みで実装しやすい

多くの業務アプリケーションは、標準機能としてCSV等のデータを出力・取り込むインタ
ーフェースを備えています。
そのため、システムの中核部分に手を加えることなく、既存の機能を活用して容易にデータ
連携の設計を行えます。
独自の通信プロトコルを開発する必要がなく、ファイルを出力して所定の場所に配置すると
いう単純な流れで完結します。
結果として開発期間が短縮され、高度なプログラミングスキルを持たない担当者でも連携フ
ローの構築に参加しやすい手法です。

メリット2:大容量のデータを一括で送受信できる

数万件に及ぶ顧客リストや、過去数年分の販売実績といった大規模なデータを扱う場合、フ
ァイルを介した通信が非常に有効です。
一度の処理で大量のデータをまとめて転送できるため、ネットワークに対する通信のオーバ
ーヘッドを最小限に抑えられます。
ネットワークを介した細かな通信を何度も繰り返す方式と比べ、システム全体にかかる負荷
をコントロールしやすい点が特徴です。
特に夜間のバッチ処理として実行することで、日中の通常業務への影響を回避しながら効率
的にデータを同期できます。

メリット3:システムの仕様変更に柔軟に対応可能

ファイル連携は、送信元と送信先のシステムが独立して稼働する疎結合のアーキテクチャを
形成します。
直接システム同士が接続されていないため、一方のソフトウェアでアップデートや仕様の変
更が発生しても、もう一方への影響を最小限に抑えられます。
連携対象のデータ項目が増減した場合でも、出力するファイルの内容や、取り込み側のマッ
ピング設定を修正するだけで対応可能です。
双方のシステムを同時に改修する手間が省け、長期的なメンテナンスコストの削減に寄与し
ます。

メリット4:処理の間に人による確認作業を挟める

システム間でデータを自動的に同期するだけでなく、必要に応じて人間の判断を介入させや
すい点も大きな強みと言えます。
出力されたデータを一時的に保持し、担当者が内容を目視でチェックしてから次のシステム
へ投入するというワークフローを簡単に構築できます。
異常値が含まれていないかを確認したり、一時的なイレギュラー対応として手作業でデータ
を修正したりすることが容易です。
完全に自動化されたプロセスでは見落としがちなエラーを防ぎ、データの品質を担保する上
で有効な手段となります。

注意すべきファイル連携の3つのデメリット

ファイル連携は優れた点が多い一方で、特性上避けられない課題や弱点も存在します。
導入を検討する際には、これらのデメリットを正しく理解し、自社の要件に適合するかどう
かを慎重に見極めなければなりません。

デメリット1:リアルタイムでのデータ同期が難しい

ファイル形式でのデータ受け渡しは、数時間おきや日次といった一定の間隔でバッチ処理を
実行するのが一般的です。
そのため、あるシステムでデータが更新されてから、別のシステムに反映されるまでにどう
してもタイムラグが生じます。
在庫の引き当て状況や金融取引の状況など、ミリ秒単位でのリアルタイムな情報更新が求め
られる業務には不向きな方式です。
データが同期されるまでの間、連携先のシステムには古い情報が残っている状態となるた
め、業務要件に合致しているか確認を要します。

デメリット2:手作業によるヒューマンエラーが発生しやすい

自動化ツールを導入せず、担当者が手動でファイルの出力と取り込みを行う運用では、作業
ミスのリスクが常につきまといます。
誤ったファイルを選択してアップロードしたり、データ加工の過程で必要な行を削除してし
まったりする事態が想定されます。
特定の担当者に作業が依存することで、担当者の不在時にデータ連携が滞る業務の属人化も
懸念される問題です。
ミスを防ぐためのダブルチェック体制を構築すると、かえって業務工数が増加するというジ
レンマを抱えることになります。

デメリット3:連携するシステムが増えると管理が複雑化する

企業内で利用するソフトウェアの数が増加すると、それに比例して連携を定義するバッチ処
理やスクリプトの数も膨れ上がります。
AシステムからBシステム、CシステムからAシステムというように、個別に連携経路を構築
するスパゲティ状態に陥る危険性があります。
どこでエラーが発生しているのか原因の特定が困難になり、運用保守の負荷が急激に増大す
る点は否めません。
ファイルフォーマットの変更が発生した際も、影響範囲の調査に膨大な時間を費やすことに
なりかねないのです。

自社に最適なファイル連携方式を選ぶための3つのポイント

ファイル連携を成功させるためには、複数の手法の中から自社の状況に最も適したものを選
択することが重要です。
導入前に検討すべき具体的な判断基準を設け、コストやセキュリティの観点から総合的に評
価するプロセスが求められます。

ポイント1:連携したいデータの量と更新頻度を確認する

まず、どの程度のサイズのデータを、どれくらいの頻度でやり取りする必要があるのかを洗
い出します。
月に数回の集計作業であれば、手作業でのファイル受け渡しでも十分に要件を満たせる場合
があります。
一方で、毎日数百万件のレコードを処理するのであれば、手作業では到底対応できず、専用
のETLツールやバッチ処理の構築が不可欠です。
データ量と処理頻度のバランスを見極めることで、過剰投資を防ぎつつ必要なパフォーマン
スを確保する最適な手段を選択できます。

ポイント2:求めるセキュリティ要件の高さを明確にする

受け渡すデータの中に個人情報や機密性の高い経営情報が含まれているかどうかを確認しま
す。
社内の閉域網だけで完結する連携であれば、通常のファイルサーバーを介した共有でも問題
ないケースがあります。
しかし、社外のパートナー企業とデータをやり取りする場合や、インターネットを経由して
クラウドストレージを利用する場合は、通信経路と保存データの暗号化が必須です。
扱う情報の重要度に応じて、SFTPサーバーの構築やセキュアな転送ツールの導入を検討し
てください。

ポイント3:開発コストと運用にかかる人的リソースを考慮する

システムを連携させるための初期開発費用だけでなく、日々の運用保守にかかるコストも総
合的に評価します。
自社にプログラミングができる技術者がいる場合は、オープンソースソフトウェアを活用し
て無料で基盤を構築することも可能です。
しかし、技術者が不在で属人化のリスクがある場合は、初期費用をかけてでもノーコードの
iPaaSやサポート体制が充実した商用ツールを導入する方が、長期的な視点では運用コスト
が抑えられます。
予算と社内リソースの現状を正確に把握し、無理なく運用を続けられる方式を採用してくだ
さい。

ファイル連携に関するよくある質問

ファイルを利用したデータ連携について、導入を検討している担当者からよく寄せられる疑
問とその回答をまとめました。

Q1. ファイル連携とデータ連携は何が違うのですか?

データ連携は異なるシステム間で情報を共有する取り組み全般を指す広い概念です。
ファイル連携はデータ連携を実現するための具体的な手段の一つであり、情報をCSVなど
のファイル形式に変換して受け渡す方式を意味します。

Q2. クラウド上のSaaS間でファイル連携はできますか?

可能です。
多くのSaaSはファイルのインポートやエクスポートを行うためのWebAPIを提供していま
す。
iPaaSなどの連携ツールを用いることで、クラウドサービス同士でもローカル環境を介さず
に直接ファイルの送受信を自動化できます。

Q3. ファイル連携のセキュリティ対策で注意すべき点は何ですか?

ファイルをメールに添付して送信する運用は、誤送信や盗聴のリスクが高いため避けるべき
です。
安全性を確保するためには、SFTP等の暗号化通信を利用するか、アクセス権限を厳密に管
理できるクラウドストレージを中継地点として活用してください。

まとめ

ファイル連携は、システム間でデータを確実かつ大容量にやり取りするための有効な手段で
す。
APIを用いたリアルタイム通信とは異なり、疎結合なアーキテクチャを保ちながら、システ
ム改修のリスクを抑えて情報共有を実現できます。
手作業によるインポートから専用ツールを用いた自動化まで、実現する形式は多岐にわたり
ます。
扱うデータ量やセキュリティ要件、社内の技術力を総合的に判断し、自社の業務に最も適し
た連携方式を選択してください。