【BtoB向け】成果に繋がるサービス資料の作り方|構成・テンプレート・デザインのコツ

  1. ホーム
  2. すべて
  3. 【BtoB向け】成果に繋がるサービス資料の作り方|構成・テンプレート・デザインのコツ

サービス資料は顧客への情報提供だけでなく、信頼関係構築や商談の成否を左右する重要なツールです。しかし、「営業が使いにくい」「顧客に響かない」といった課題を抱える企業も少なくありません。このような資料では、せっかくの商談機会を逃してしまう可能性もあります。

本記事では、BtoB企業が成果に繋がるサービス資料を作成するための具体的な方法を解説します。どのような構成で、どんな情報を盛り込めば良いのか、テンプレートの活用法やデザインのコツまで、営業担当者が「使いこなせる」資料作成の秘訣を掴んでいきましょう。

その他のBtoBマーケティング施策についてはこちらの記事をご覧ください。

BtoBサービス資料とは?その役割と営業資料との違い

BtoBサービス資料とは、自社のサービスや製品の概要、特徴、導入事例などを網羅的にまとめた資料です。主な目的は、見込み顧客に対してサービス内容を正確に伝え、興味・関心を高め、次のステップ(問い合わせや商談)へと繋げることです。

よく混同されがちな「営業資料」との違いは、その役割と使用シーンにあります。営業資料が個別の商談フェーズや顧客の課題に合わせてカスタマイズされるのに対し、サービス資料はより汎用的な情報提供を目的とし、Webサイトからのダウンロードやメールでの送付など、幅広いシーンで活用されます。

また、ホワイトペーパーや導入事例集などもBtoBマーケティングで用いられる資料ですが、それぞれ特定の目的(課題解決、成功事例の共有など)に特化している点がサービス資料とは異なります。サービス資料は、これらの資料への導入としての役割も果たします。

成果に繋がるサービス資料の「構成」8つの必須要素

顧客に響き、営業が使いこなせるサービス資料を作成するためには、顧客視点に立った構成が不可欠です。ここでは、サービス資料に含めるべき8つの必須要素と、それぞれの役割、記載すべき内容を解説します。

①表紙・タイトル

顧客の興味を惹きつけ、資料の内容を端的に伝えます。

顧客が「自分ごと」として捉えられるような、課題解決やメリットを示唆するタイトルを心がけましょう。

記載内容
  • キャッチコピー
  • ターゲット顧客へのメッセージ
  • 会社ロゴ

②目次

資料全体の流れを把握させ、必要な情報に素早くアクセスできるようにします。

長い資料の場合や、特定の情報だけを知りたい顧客のために、クリック可能な目次(PDFの場合)も有効です。

記載内容
  • 各章のタイトルとページ番号

③顧客の課題提起

ターゲット顧客が抱える具体的な課題や悩みを明確に提示し、共感を呼びます。

顧客が「まさにこれだ!」と感じるような、具体的な課題を提示することで、資料への引き込みを強化します。

記載内容
  • 顧客が直面しているであろう一般的な課題
  • 業界特有の課題
  • それらの課題が引き起こす問題点

④サービス概要・解決策の提示

課題に対する自社サービスの具体的な解決策と、それによって顧客が得られる価値を提示します。

専門用語を避け、分かりやすい言葉で、顧客が「どう変われるか」を具体的に示しましょう。

記載内容
  • サービスのコンセプト
  • 主要機能
  • 特徴
  • 導入メリット
  • 競合との差別化ポイント

⑤導入事例・活用事例

顧客の成功イメージを具体化し、サービスの信頼性と効果を裏付けます。

ターゲット顧客に近い業界や規模の事例を複数掲載することで、より共感を得やすくなります。

記載内容
  • 導入前の課題
  • 導入後の成果(具体的な数字を載せることが望ましい)
  • 顧客の声
  • 導入企業名(導入企業の許諾が必要です)

⑥料金プラン・導入の流れ

サービス導入に関する具体的な情報を提示し、顧客の疑問や不安を解消します。

明確で分かりやすい料金提示を心がけ、導入後のイメージを具体的に伝えましょう。

※ダイナミックプライシングを採用する場合など、料金プランを掲載しない方が良い場合もあります

記載内容
  • 料金体系(プラン、オプション)
  • 契約から導入までのステップ
  • サポート体制
  • よくある質問(FAQ)

⑦会社概要・信頼性

企業としての信頼性や実績を伝え、安心感を与えましょう。

企業理念やビジョンを伝えることで、顧客との共感を深めることもできます。

記載内容
  • 会社名
  • 所在地
  • 設立年月日
  • 代表者名
  • 事業内容
  • 沿革
  • 受賞歴
  • メディア掲載歴

⑧CTA(Call To Action)

資料を読んだ顧客に、次の具体的な行動を促します。

複数のCTAを設置し、顧客の興味度合いに応じた選択肢を提供することも有効です。

記載内容
  • 問い合わせフォームへのリンク
  • デモ依頼
  • 無料トライアル
  • 資料ダウンロード
  • セミナー案内

営業が「使いこなせる」サービス資料にするための「デザイン」のコツ

サービス資料は、単なる情報の羅列ではなく、「見る」ことで理解が深まるようにデザインされている必要があります。特にBtoBでは、営業担当者が商談中に顧客に見せることも多いため、視覚的な分かりやすさが重要です。

パワポで実践できるデザインの基本原則

ワンスライド・ワンメッセージ

1つのスライドには、1つの主要なメッセージのみを記載します。これにより、情報過多を防ぎ、顧客が混乱することなく内容を理解できます。

視覚的な訴求

テキストだけでなく、図解、グラフ、イラスト、写真などを効果的に活用しましょう。複雑な情報も視覚化することで、直感的に理解しやすくなります。特に、導入効果や実績を示す際には、具体的な数字をグラフで表現すると説得力が増します。

フォントと配色

読みやすいフォント(メイリオ、游ゴシックなど)を選び、フォントサイズも適切に設定します。企業ブランドに合わせた配色ルールを定め、資料全体で統一感を持たせましょう。使用する色の数を絞ることで、洗練された印象を与えられます。

余白の活用

スライド内の要素間に適切な余白を設けることで、情報が整理され、視認性が向上します。余白はデザインの一部として意識しましょう。

レイアウト

人間の視線は左上から右下へ流れる傾向があるため、重要な情報は左側に配置するなど、視線の動きを意識したレイアウトを心がけます。要素の配置を揃える(左揃え、中央揃えなど)ことで、整然とした印象を与え、プロフェッショナルな資料に見せることができます。

今すぐ使える!サービス資料の「テンプレート」

ゼロから質の高いサービス資料を作成するのは、時間も手間もかかる大変な作業です。しかし、既存の「テンプレート」を活用すれば、デザインの骨格や構成の基本を押さえつつ、効率的に作成を進めることが可能です。

ここでは、目的に合わせて選べる無料・有料のテンプレートサービスをご紹介します。自社の状況に合わせて最適なツールを見つけ、資料作成をスムーズに始めましょう。

【無料】で手軽に始められるテンプレートサービス

まずはコストをかけずに試したい、あるいは手軽に資料を作成したいという場合に最適なサービスです。

Canva(キャンバ)

おしゃれでデザイン性の高いテンプレートが豊富。ドラッグ&ドロップの直感的な操作で、専門知識がなくてもクオリティの高い資料が作成可能です。無料プランでも多くのテンプレートや素材を利用できます。

Canvaサイト:https://www.canva.com/

PowerPoint(パワーポイント)

Microsoftが公式に提供する有名なスライドサービス。テンプレートが充実しており、ビジネスシーンで使いやすいシンプルで汎用的なデザインが揃っています。

※PowerPointそのものは有料ですが、多くの企業が標準導入しているため、無料枠とさせていただきました。

Googleスライド

Googleが公式に提供する有名なスライドサービス。PowerPointと同じ操作性で、テンプレートも豊富です。

拡張機能(無料)を利用することで、アイコンなどのさまざまな機能を追加することもできます。

bizocean(ビズオーシャン)

28,000点以上の書式・テンプレートを無料で提供する日本最大級のプラットフォーム。企画書や提案書のテンプレートも豊富で、様々な業種・用途に対応しています。

bizoceanサイト:https://www.bizocean.jp/

【有料】でさらにクオリティを追求するサービス

よりデザインにこだわりたい、あるいは豊富な素材を活用してオリジナリティの高い資料を作成したい方向けのサービスです。

Canva Pro(キャンバ プロ)

特徴: 無料版の機能に加え、1億点以上のプレミアム写真・素材、高度なデザイン機能(背景リムーバなど)、ブランドキットが利用可能になります。チームでの共同編集機能も強化されており、組織での資料作成に適しています。

価格帯: 月額プラン、年額プランあり。

Canvaサイト:https://www.canva.com/

Adobe Creative Cloud(アドビ クリエイティブ クラウド)

特徴: IllustratorやInDesign、Adobe Stockといったプロ向けのツール群を活用し、完全にオリジナルで高品質なサービス資料を作成できます。テンプレートも提供されていますが、デザインの自由度が非常に高いのが魅力です。

価格帯: アプリケーションごと、またはコンプリートプランでの月額・年額制。

Adobe Creative Cloudサイト:https://www.adobe.com/jp/

テンプレートを使うメリットと注意点

メリット

  • 時間短縮:構成やデザインのベースがあるため、効率的に作成できます。
  • 品質の均一化:誰が作成しても一定の品質を保てます。
  • デザインの参考:プロが作成したデザインから、自社の資料に活かせるヒントを得られます。

注意点

  • 汎用性:テンプレートは汎用的に作られているため、自社のサービスやターゲットに合わせてカスタマイズが必要です。
  • 独自性:他社と同じテンプレートをそのまま使うと、独自性が失われる可能性があります。

顧客に「響く」サービス資料にするための実践的アプローチ

単に情報を詰め込むだけでなく、顧客の心に響くサービス資料にするためには、いくつかの実践的なアプローチが必要です。

顧客視点の徹底

常に「顧客は何を知りたいのか?」「この情報で顧客の課題は解決できるのか?」という視点を持つことが重要です。自社が伝えたいことだけでなく、顧客が知りたいことを優先して情報設計を行いましょう。

数字で語る

「導入効果が向上します」といった抽象的な表現ではなく、「導入後、〇〇%のコスト削減を実現」「〇〇社の導入実績」のように、具体的な数字を用いて説得力を持たせましょう。

ストーリーテリング

顧客が抱える課題から始まり、自社サービスがどのようにその課題を解決し、最終的にどのような成功を収めるのか、という一連のストーリーを描くことで、顧客は自分ごととしてサービスを捉えやすくなります。

営業担当者との連携

実際に資料を使う営業担当者からのフィードバックは非常に貴重です。「この情報が足りない」「この表現は分かりにくい」といった現場の声を吸い上げ、資料の改善に活かしましょう。

資料の「独り歩き」を意識する

営業担当者が同席しない状況(メール送付やWebダウンロードなど)でも、資料だけで内容が正確に伝わるように作成することが重要です。専門用語の解説や、図解の充実などを心がけましょう。

サービス資料作成で陥りがちな「落とし穴」と対策

サービス資料作成において、多くの企業が陥りがちな「落とし穴」があります。これらを事前に把握し、対策を講じることで、より効果的な資料を作成できます。

情報過多、専門用語の多用

  • 落とし穴:伝えたいことが多すぎて、1つのスライドに情報を詰め込みすぎたり、顧客が理解できない専門用語を多用したりしてしまう。
  • 対策:「ワンスライド・ワンメッセージ」を徹底し、専門用語には必ず解説を加えるか、平易な言葉に置き換えましょう。

自社視点になりすぎている

  • 落とし穴:自社の強みや製品の機能ばかりをアピールし、顧客の課題解決やメリットに焦点を当てていない。
  • 対策:常に顧客視点を持ち、顧客がサービス導入によって「何を得られるのか」を明確に伝えることに注力しましょう。

デザインの統一感がない

  • 落とし穴:スライドごとにデザインがバラバラで、プロフェッショナルな印象を与えられない。
  • 対策:ブランドガイドラインに沿ったフォント、配色、レイアウトのルールを定め、資料全体で統一感を保ちましょう。テンプレートの活用も有効です。

更新されない古い情報

  • 落とし穴:サービス内容や実績、料金プランなどが変更されたにも関わらず、資料が更新されていない。
  • 対策:定期的に資料の内容を見直し、最新の情報に更新する体制を構築しましょう。顧客からのフィードバックも改善のヒントになります。

まとめ

本記事では、BtoBサービス資料の作成において、営業が使いやすく、顧客に響く資料を作るための「構成」「テンプレート」「デザイン」のコツを解説しました。

サービス資料は、一度作ったら終わりではありません。顧客の反応や営業現場からのフィードバックを元に、継続的に改善を重ねていくことが重要です。

顧客視点を徹底し、分かりやすい構成と魅力的なデザインで作成されたサービス資料は、営業活動を強力に後押しし、商談の成約率向上に大きく貢献するでしょう。ぜひ本記事で紹介したポイントを参考に、貴社の営業を加速させるサービス資料を作成してください。